VPSはクラウド環境にありますから、そこに外付けのバックアップ媒体を接続することはできません。通常はcroneを使用して例えば午前3時にデータベースのDUMPファイルを作成してバックアップしたりします。私のところでは、原則として曜日別にバックアップを採っています。いわゆる7世代管理を行なっているわけです。
昔のシステムでは、システムの運用責任者がいて、月次締め処理や請求締め処理などの締め処理というバッチ処理を行なっていました。データとしては締めデータとそれ以降に発生したトランザクションとで管理するという方式です。データ効率がいいので、昔の容量の小さなコンピュータではそのような運用が一般的でした。こういったバッチ処理は、しかしながら運用上の操作ミスや締め後の復旧処理などを必要とすることも多く、上記のような世代管理が必要でした。
私どもで作成するシステムでは、運用責任者の存在は前提としていないため、実際には世代管理も必要ではありませんが、安心のため行なっています。しかしながら、かなり安心なVPSといえどもHDDが障害によりダウンすることはありえます。
さくらインターネットの社長のブログ「さくらインターネット創業日記」にも以下の様な記事があります。
satoru.net様からの質問と回答について
このなかで「HDDが結果として故障することは一般に知られており、エイジングは行っているものの、絶対に故障させない保証は非常に困難です。」という記述があります。ただ、最新の仮想技術の採用で障害の発生した装置は切り離してもダウンしない構成にすることは可能ですが、安価なVPSに採用されていないのだと思います。
私のところでは、まだVPSを使用していてHDDの障害に遭遇したことはありませんが、ファーストサーバーの事故(というより事件)などという、想定すら出来ない事態も出てくるとやはり別媒体へのバックアップの必要性も出てくるわけです。それにしてもファーストサーバーの事件はひどかった。クラウドに対する不安を煽っていますね。
私どもではお客さまのデータも含め(お客さまの分はサービスですが)、別のVPSにバックアップデータのバックアップを行なっています。この処理も深夜のサーバー内でのバックアップ後に自動処理されています。別の会社のVPSにバックアップしたほうがより安全ではないか、という声もありますが、IPアドレスの系列もかなり異なっているサーバーなので、設置場所も異なるのではないか、さすがにVPSに対する人為的なミスはないだろう、という楽観的といえるかもしれませんがさくらインターネットへの信頼により、同社のVPSにバックアップを採っています。
VPSは仮想的にではありますが、専用サーバーとして使えるようになっており、バージョンアップや付加サービスなどは一切ありませんから、逆に人為的なミスによる影響もありえないと考えています。そんな意味でも共用サーバーからVPSへの移行をお奨めします。