IoTについて

IoTとは?

IoT(Internet of Things)という言葉がブームとなっています。「モノのインターネット」などという訳のわからない日本語で訳されたりしていますが、私はこの概念を以下のように捉えています。

  1. モノ、ヒト、サービスがネットを通じて繋がり、互いに影響する関係を作ることで新たな価値を創造する技術の集合
  2. 情報(計測値だけでなく、画像、音声なども含む)はサーバーに記録される
  3. 情報を即時あるいは一括して解析しモノ、ヒト、サービスにフィードバックする
  4. ビッグデータ分析、AI利活用まで含む

「機械にセンサーを取り付け制御することは昔からやっていること」

そのとおりですが、従来はシーケンサーを使用して専用の命令語を使用しシリアルポートでコンピュータに出力して制御する、といったことを指し示していました。かなり専門性の高い分野で技術者も限られ、短期間・低価格での開発は容易ではありません。

IoTは実は比較的安易に取り掛かることのできる技術です。センサーや制御に必要なCPUなどが極めて低価格化し、家庭や工場などの施設内であれば給電やネット接続も問題なく出来ます。情報を記録するサーバーはクラウド利用でこれも手軽に利用可能となりました。スマホやタブレットの普及でフィードバックも容易に行えるようになりました。

ラズパイ

特にラズパイ(Raspberry Pi)の登場でかなり敷居が低くなりました。「電子工作は苦手」な方であっても参考書も多く、低価格であることから「ダメで元々」の精神で挑戦しやすくなりました。ラズパイは教育用に販売されているため、5ドルで購入できるラズパイZEROなどは一度の購入で1台しか購入できないなどの制限もありますが、上位機種でも35ドル。商用電源の給電ができWiFi接続できる環境であれば極めて有能な仲間となります。

IoTのボトルネックは給電と通信

施設から数十m離れた屋外に設置する場合は商用電源の引き込みが出来ず、電池などを使用せざるを得ません。そうなるとしっかりとしたOSが動作するラズパイは給電が継続できないため、マイコンを使用しいかに節電(眠らせて)して動作させるか、といった技術が必要になります。

また、インターネット接続でもWiFiが使用できなかったり、3G接続では電波強度が弱かったり、設置台数が多い場合は通信量がかさむといった問題も発生します。このような場合は消費電力が小さく通信可能距離の長いLoRaWANの使用などが今後必要となってきます。この分野はようやく各事業者が本格参入し始めたところです。

IoTのカギを握るクラウド

センサーが取得した計測情報などはクラウドサーバーに送るというのが一般的です。もちろん工場など計測情報を送るセンサーの数量が限定できているような場合は自社サーバーに送ればいいのですが、将来的に設置するセンサー数が急増することが予想される場合などは、簡単にスケールアウトができるクラウドサーバーが便利ですし、コストや可用性の面からもクラウドサーバーを選択する必然性がでてきます。

センサーとサーバーをつなぐインタフェースは、Web APIが最適でしょう。基本的にはjson形式のような配列で上り・下りもプロトコルを決め、サーバー側で計測値および計測値の変位や全体的な状況からセンサー、監視パネル、監視者に指示や情報通知を行うということになります。ここからさきはWebアプリやスマホアプリの世界になります。

ビッグデータ分析、AI利活用まで

ここまでですと、IoTはいわば自動入力装置にしかなりません。もちろんそれがどれほど省力化、正確性の確保に役立つかはいうまでもありませんが、情報が広範囲、大量になってくると、「クロス集計分析」「アソシエーション分析」「クラスター分析」「ロジスティック回帰分析」などの分析手法によりトレンド分析や予測などが可能となってきます。

更に情報分析を進めAIによる高度な推論、判断、制御が可能になる可能性があり、付加価値が累進的に増加します。