クラウドとは
クラウドコンピューティング(Cloud Computing)という言葉は、2006年にGoogleのCEOであるエリック・シュミットによる発言がその最初と言われています。
ユーザー(企業、個人など)がコンピュータのハードウェア、ソフトウェア、データなどを、自身が管理する設備内に導入、設置して運用する、いわゆるオンプレミス(on-premises)の運用形態ではなく、ユーザーがインターネットの向こう側の、実態のはっきりしない雲のようなところからサービスを受け、サービス料金を支払うという運用形態を指します。
○○○ as a service. (○○○をサービスとして利用する)ということから、XaaSと一般化した呼称がたくさん作られています。
AaaS(Architecture as a Service)から始まり、よく知られたところではSaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)、DaaS(Desktop as a Service)などがあります。
Webアプリケーションをインターネット経由で提供するサービスとして、ASP(Application Service Provider)が提供されましたが、いつのまにかASPとSaaSが同義語になったような使われ方をしています。もともと、ASPはシングルテナントで、顧客ごとにアプリケーションを分け、場合によってはカスタマイズして提供する形態。SaaSはマルチテナントでひとつのアプリケーション、データベースを複数の顧客が共有することにより低価格で提供できる形態にしたものと、明確に分けられていました。
SaaSにはASPにはないノウハウがありますし、提供の仕方が異なるのですが、どうもその差異がわかりにくいのと、SaaSと呼んだほうがユーザーに受け入れられやすいというのか、提供側もごっちゃにしてきました。総務省が設置した「ASP・SaaS の情報セキュリティ対策に関する研究会」が発行する「ASP・SaaS における情報セキュリティ対策ガイドライン」というものがありますが、このなかで、「ASP(Application Service Provider)及びSaaS(Software as a Service)は、ともにネットワークを通じてアプリケーション・サービスを提供するものであり、基本的なビジネスモデルに大きな差はないものと考えられる。」という記述があります。
Windows95が発表され、クライアント/サーバー型システムという分散処理型の利用形態が普及しましたが、操作性がいいとか処理速度が速いとか分散型のメリット面も確かにありますが、その一方で当時のPCが1台30万円程度の価格であり、ライセンス料も含めるとかなりのコストとなりますし、運用コストもかかります。それでもメインフレーム時代のようなメーカーの専用端末を使わずに、汎用PCが使える「オープンシステム」だから少しはコストが下がったのですが。
そこでシンクライアント(Thin Client)という概念がすぐに出てきました。分散処理からサーバーでの集中処理に戻し、ハードディスクや大きいメモリを搭載しない、グラフィック処理での再生と入力が出来るだけの端末を使用する利用形態です。コストは大幅に下がります。ただ、これはあまり普及していません。そこにDaaSというものが登場してきました。仮想化技術によりPCのデスクトップ環境をサーバーに集約することで、煩雑なクライアントPC運用管理の負荷/コストを軽減するというものです。これもクラウドです。
人生いろいろ、クラウドもいろいろ。